2025年第3回診療所事務長会
医療現場カスハラ対応の境界線
それ、もう“苦情”じゃないかも?
7月16日に開催いたしました2025年第3回診療所事務長会では、同会でいつも司会を担当していただいている後藤真由美氏(株式会社アール・ド・ヴィーヴル代表取締役)にご登壇いただきました。
後藤氏は司会者人材育成スクールを開講し、プロフェッショナルの育成に携わることをきっかけに、医療機関などでの人材育成にも関わっておられます。
今回の勉強会では医療機関のカスハラ対策について講演していただきました。
参加できなかった方のために、セミナーの一部をこちらで報告させていただきます。
■命・健康に関わるので感情が高ぶりやすい
昨今、サービス業全般においてカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が課題になっているなかで、医療現場にも特有の特徴があります。命や健康に関わることだけに感情が高ぶりやすく、かつ不安や不満も高まり暴言や威圧的行動につながりやすい側面があります。
そういった状況下で言葉の使い方、伝え方によって誤解が生まれやすくカスハラに発展する危険性が高まります。
そのためマニュアルや対応方針の整備、スタッフの精神的ケアが重要になります。
■暴言・威圧的態度には組織的対応を
医療現場におけるカスハラの具体的な例としては、怒鳴る、暴言を吐く、差別的な発言など言葉のハラスメントや、受付カウンターを繰り返し叩く、書類を投げつける、殴る素振りをするなど威圧的な態度によるハラスメントがあります。
まずは苦情とカスハラを正しく見分けられるよう研修会などを行い、カスハラが発生したときに孤立しないよう複数で対応するなど、対応マニュアルの作成などが必要になります。
■司令塔として事務長の果たす役割
カスハラに対して事務長の果たす役割は大きく、現場スタッフの安全基地とならなければいけません。
すぐに相談できる窓口をつくり、事務長が楯となってスタッフの物理的・心理的安全性を確保する必要があります。
事務長は現場を守る司令塔であり、事務長の態度・言動がスタッフの大きな救いになることもあり、それが離職防止にもつながります。
■次回は9月17日(水)18:30~税務に関する勉強会です
2025年4回目の診療所事務長会は、株式会社メディカルアシスト代表取締役の西﨑法智氏を講師に迎えて「事務長アップデート!“経営感覚”を身につけて一歩先へ」をテーマに、貸借対照表の読み方、小口現金の勘定科目の確認と作成、税務一問一答などについてご講演いただきます。申込開始は、こちらでご案内します。
また、診療所事務長会では、今後もさまざまなセミナーを開催していきます。聞きたいテーマやご要望などがありましたら、ぜひ「お問い合わせ」フォームよりご意見をお寄せください。