2024年第3回診療所事務長会

診療科別DXの成功と失敗~ぶっちゃけトーク

電子カルテ/予約システム/Web問診/自動精算

 

7月17日に開催いたしました2024年第3回診療所事務長会では、中央ビジコム株式会社の松岡敬介氏(市場開発部 目利き医ノ助 事業推進責任者)をお招きしました。

約60名の方にご参加いただき、クリニックに求められるIT・DX化などについて、最新の状況を学ぶ勉強会になりました。

残念ながら参加できなかった方のために、セミナーの一部をこちらで報告させていただきます。

また、セミナーの詳しい内容は、月刊「クリニックばんぶう」9月号にもレポートされる予定です。お楽しみに☆

 

 

■DX推進の背景

そもそもクリニックでなぜDX推進が言われるようになったのかについて松岡氏は3つの要因を挙げました。1つ目はクリニックに限らず業務の属人化を減らすことです。特定の人だけにできる業務があると、その人がいなくなることは経営リスクとなります。2つ目は選ばれるクリニックになること。コロナ禍以降、患者が来るのを待つクリニックから、患者から選ばれるためにどうするのか、という風潮がかなり広まってきました。3つ目は行政の対応。マイナンバーカードのデータベースを基準として、電子処方箋や電子カルテの標準化などで、地域医療連携をもっと活発に進めていこうという国の方向性です。

 

 

■近年開業のクリニックにおけるDX事情

ホームページの開設は必須で、そこから予約システムに誘導し、予約が完了すると自動的に問診画面が起動します。問診を先に済ませることで、来院時の記入時間が削減できるほか、保管の負担も減ります。来院時には診察券やスマートフォンを読み取りチェックインが記録され、診察を終えて電子カルテ上で会計が確定すると、セミセルフレジまたは自動精算機にデータが伝わり、支払い作業は患者が行います。

松岡氏によると、ここ3年前ぐらいで開業のお手伝いをしたクリニックは、ほぼこの流れのシステムを導入しているとのことです。

 

 

■DX化に正解はない

スタッフの負担軽減や業務の効率化も大切なことですが、松岡氏によるとDX化で最も大事なのは患者との接点です。

ホームページはただあればいいというわけではなく、診療時間や得意とする診療内容、医師の人柄、院内の雰囲気などがわかりやすく表現できているかが重要です。誰もがスマートフォンを持つようになって重要視されるのが、スクロールして下にいかないと見られない情報はロスが多く、患者の見たい情報が上のほうにきちんとわかりやすくまとまっていることが求められます。

特に強調されていたのがDX化に正解はないということです。診療科目、人数、スタッフのリテラシー、患者層、地域性など、様々なことに違いがあれば、当然入れるべきシステムも変わってきます。何が課題で、どういう目的で導入するのか、ということについて実際にシステムを使うスタッフと一緒に考えながら進めていくことが大切であると締めくくり、会は終了しました。

 

 

■次回は9月18日(水)18:30~労務に関するセミナー

2024年4回目の診療所事務長会は、社会保険労務士法人VOICEから社会保険労務士の中尾友美氏と運営管理部長の川村奈穂子氏お迎えします。テーマは「本当にあった労務トラブルから学ぶ~社労士が教える事務長が知っておくべきこと」です。申込開始はこちらでご案内します。

また、診療所事務長会では、今後もさまざまなセミナーを開催していきます。聞きたいテーマやご要望などがありましたら、ぜひ「お問い合わせ」フォームよりご意見をお寄せください。