2023年第3回診療所事務長会

16年訪問診療に関わる医師が語る

在宅事業を成功に導く 事務長の役割

 

7月19日に開催いたしました2023年第3回診療所事務長会では、大阪府・兵庫県・京都府・奈良県で11の在宅療養支援診療所を運営するナチュラルケアグループの渡辺克哉理事長をお招きし、セミナーを開催しました。約60名の方にご参加いただき、渡辺先生の人柄が伝わる、笑いの絶えない勉強会になりました。

今回は残念ながら参加できなかった方のために、セミナーの一部をこちらで報告させていただきます。また、セミナーの詳しい内容は、月刊「クリニックばんぶう」9月号にもレポートされる予定です。お楽しみに☆

 

 

■2006年に在宅療養支援診療所をスタート

 渡辺克哉先生が訪問診療に関わるようになったのは2006年、大学院生のときだったそうです。当時はまだ訪問診療を行う医師が少ない一方で、有料老人ホームなどの施設が増え始めていた時代。今後、訪問診療のニーズが増えていくであろうと時代の先を読み、ブルーオーシャンだった訪問診療事業にいち早く飛び込むことを決めました。スタッフは渡辺先生と同じく大学院生の医師、看護師2名、医療事務1名、事務長1名。家賃6万円の居抜きテナントで事業をスタートさせました。

訪問先は個人宅ではなく、当時増えていた有料老人ホームにしようと方針を決め、渡辺先生自ら有料老人ホームに足を運び、訪問先を増やしていきました。

 

■増えるニーズに応えて事業を拡大

 評判を聞きつけた施設からの問い合わせを受け、それにこたえるべく事業を拡大。「規模を拡大して日本一の訪問診療グループになる」ことを目指しましたが、患者数が3000人を突破した頃から組織や患者、患者家族との関係にほころびが出始め、いったん規模を縮小。スタッフ全員を集めて、「何のために仕事をしているのか」という議論を重ね、「ともにある(患者さんとともに在る、仲間とともに歩る、地域とともに有る)」というビジョンを共同策定しました。これが転機となり、現在は患者数7000人を突破し、順調に事業規模を拡大中です。

 

■事務長の役割は「何でも屋」

 こうした事業拡大のうえで欠かせなかったのが、事務長の存在だと渡辺先生は言います。ナチュラルケアグループの事務長は、「医療はサービス業である」という渡辺先生の考えのもと、接遇研修を導入して患者目線のサービス提供に尽力しており、そのマインドで営業活動を推進。医療事務全般から人材の管理業務、医療連携、経営企画に至るまで、事務長の役割を限定することなく、事業拡大に寄与してきたと振り返ります。現在、事務長の部下として、各エリアにエリアマネージャーを配置し、やはり「何でも屋」として患者対応から営業、医療事務のとりまとめまでを担当する人材を配置しています。

 今後はこうした組織力と本部機能を強化し、さらなる事業拡大を視野に入れていくと展望を語り、セミナーを終えました。
 

■恒例の懇親会。関東から事務長会に参加してくださった方もいました

 

 

■次回は9月13日(水)18:30~整形外科グループ事務長によるセミナーです

2023年4回目の診療所事務長会は、整形外科8院を展開した医療法人隆由会事務長で当会理事でもある原恭輔事務長がお話します。テーマは「ポンコツ事務長が明かす組織づくり」です。申込開始は、こちらでご案内します。

また、診療所事務長会では、今後もさまざまなセミナーを開催していきます。聞きたいテーマやご要望などがありましたら、ぜひ「お問い合わせ」フォームよりご意見をお寄せください。