※開催レポート(2026年3月度 診療所事務長会・懇親会)
医療広告ガイドラインの現在地
保険診療に広がる規制の波

一般社団法人診療所事務長会は3月18日、大阪市中央区のグロッタ デ アモーレ心斎橋にて、2026年3月度セミナーを開催しました。今回は、株式会社サーキュライズ代表取締役の吉田梓氏を講師に迎え、「なぜ今、保険診療でもガイドライン遵守が叫ばれるのか?」をテーマに講演が行われました。
参加できなかった方のために、セミナーの一部をこちらで報告させていただきます。

■保険診療にも広がる広告規制の強化
吉田氏は、2018年の医療広告ガイドライン改正により、医療機関のWEBサイトも広告とみなされるようになった点を強調しました。現在はネットパトロールが強化され、SNSも含め年間約10万サイトがスクリーニングの対象となっています。
これまで指摘の多くは自由診療に集中していましたが、近年は保険診療にもチェックが及んでいます。その背景には医療財政の逼迫があり、広告規制の目的も患者安全だけでなく、不必要な医療費の抑制へと広がっています。
違反が疑われた場合でも、指摘に応じて修正すれば大きな問題にはなりませんが、放置や悪質なケースでは刑罰や実名公表の可能性もあるため、早期対応の重要性が示されました。

■見落としやすい具体的な違反事例
講演では、日常的に見られる違反リスクの具体例が紹介されました。例えば内科では「苦痛がない内視鏡」や「地域ナンバーワン」といった断定・比較表現、整形外科では「最短で復帰」「数回で完治」といった治療効果の保証が該当します。心療内科の「薬に頼らない治療」や、産婦人科の「無痛分娩」なども、断定的表現として問題視されます。
また、「駅から徒歩1分」といった利便性の強調も誘因性の観点から不適切とされるなど、従来は見過ごされがちだった表現にも注意が必要です。
さらにGoogleマップの口コミ対応にもリスクがあり、患者の感想に対して治療内容や効果を補足する返信は広告とみなされる可能性があります。シンプルに感謝を伝える姿勢が求められます。

■求められるのは“誠実さ”とエビデンス
対策として吉田氏は、「必要な人に必要な情報を届ける」姿勢の重要性を指摘しました。利便性や過度な訴求ではなく、診療のプロセスやエビデンスに基づく正確な情報を丁寧に発信することが、結果的にミスマッチの防止やSEO対策にもつながるといいます。
また、ホームページのチェックについてはAIの活用も可能ですが、URLを入力して確認するだけでは取りこぼしがあり、個別の精査が不可欠であるとの見解が示されました。アンケート結果の掲載についても、調査方法や条件の詳細な説明が求められます。
講演のまとめとして、「行政が手出しできないレベルの誠実さを、ウェブ上のあらゆる要素に埋め込むこと」が今後の医療機関に求められる姿勢であると強調されました。

なお、次回セミナーは5月20日(水)、大阪府保険医協会事務局の三村次長を講師に迎え、「診療報酬改定の最新トピック」をテーマに開催される予定です。申込開始は、こちらでご案内します。
また、診療所事務長会では、今後もさまざまなセミナーを開催していきます。聞きたいテーマやご要望などがありましたら、ぜひ「お問い合わせ」フォームよりご意見をお寄せください。
